たまには違うのもいいかもしれない
たまにはね
いつも同じワインを同じ場所で飲んでいる
同じ音楽を聴いていた
知り合いの声がこだまする
ふと耳を塞いでみると、
心臓が揺れている
あいつの影が見える
しかし夜の闇がそいつの影を消し去るだろう
依然心臓はおかしいほどに揺れているのに
頭の中は至って冷静
わたしにはどうすることもできない
建設中のビルの上でカラスは鳴いている
しなしなになったハンバーガー片手に
黒い子供たちに子守唄を聞かせる
少量の毒を盛った身体にワイドショーは虚しく騒ぐ
いい子だ、そろそろ寝る時間だよ
また明日から同じ毎日が始まるのだから
暗い部屋の片隅であいつの影が揺れている
そういえば
あれはどこにやったっけ
去年の春休みに家の庭に埋めてしまったのに
誰もいない布団のなかに探しにもぐる
暖かい闇の中に包まれて
今日もまた見つけられずに、一日は終わる
カーテンは閉じたまま――
(L and Pan and Koh)
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