2016年10月7日金曜日

出会い

ベッドから出て 顔を洗う
鏡に写った よく知っている顔は
私ではない。

コンシーラー ファンデーション
マスカラ カラコン
卑屈さと弱さの匂いをコーティングする香水

よし、おはよう、私。

「友達とランチしてきた♡」
料理なんかほとんど写ってない写真
洗練された角度 ゆで卵みたいな肌は、生ではない。
声のない「いいね」「かわいい」で
使い捨ての自尊心を守る。

知らない人に聞かれる。
「ねぇ、いくら?」
自分に値段がつくことを知る。
年を取ったら 値下げされるのかな。

生じゃないのは分かっているけど、生が美味しいとは限らない。

私の生は、あなたの生。
私の生は、
あなたの声が空気の粒を伝って
私の鼓膜を揺さぶること。

生が美味しいとは限らない。
それでも、
私の生は、私の生。
でかい袋を担いで、
ビルをのぼる。
屋上から、大事にしていた星たちを全部ばらまく。

じっとしていない
今の今の生に言う。

おはよう、私。



(aychan)

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