1
黒いフードを被った天使に
胸のなかをぎゅっと掴まれる
炭酸水を注ぎ込まれて
しゅわしゅわと胸がしびれる
重力を失う
世界がほんの少し軽くなる
当たり前に来ると思っていた明日は
当たり前でない今日になる
彼らは星の光に照らされて、
拍手の音を聞く間もなく
せっかちなステップを踏んで
プレゼントされたたくさんの花束を抱え
そのまま夢の世界に行ってしまう
2
毛むくじゃらのお腹の中
キュルキュルと小さい虫が
踊る音が聞こえる
心臓の精一杯のビート
レンズにそっぽを向ける瞳
白目には茶色いシミ
毛の薄くなった鼻頭
柔らかくなった肉球と笑顔
久しぶりに排水溝の掃除をしていたら
目の前がぼんやりとした
3
真冬の日向ぼっこ
ビーチでのかけっこ
草むらでのじゃれあいっこ
さようなら、よりも、またね
気休めのお祈り
どんなにいい写真家だって、画家だって、作家だって役立たず
胸に手をあてると
そこにはダンサーがいる
(2016年9月16日、相棒の帰りを待ちながら)
(L)
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